「学生でも創業計画書を作れる?」

「社会人経験がない場合、経歴欄には何を書けばいい?」

「売上実績がないのに、どうやって売上計画を作ればいい?」

大阪で起業を考えている大学生や専門学校生の中には、このような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

創業融資を申し込む際には、事業内容や必要資金、売上の見込みなどをまとめた「創業計画書」が重要な資料となります。

しかし、学生の場合、社会人としての勤務経験や事業実績が少ないこともあり、何をどのように書けばよいのか迷ってしまうことがあります。

そこで大切なのが、経験が少ないことを無理に取り繕うのではなく、これまでの学びや活動、実際に行った事業準備を具体的に示すことです。

大学で学んだ専門知識、アルバイトやインターンシップの経験、制作した作品、試作品の利用状況なども、事業内容によっては創業計画を裏付ける材料になります。

今回は、大阪で学生起業を目指す方に向けて、創業計画書の基本的な構成から、学生ならではの強みを活かした書き方まで詳しく解説します。【監修:税理士 村田幸雄】


1.創業計画書とは?事業計画書との違い

まず、「創業計画書」と「事業計画書」の違いを整理しておきましょう。

どちらも事業の内容や売上計画、必要資金などをまとめる資料ですが、一般的には次のような違いがあります。

創業計画書

これから事業を始める方や、創業して間もない方が、創業の動機、経歴、商品・サービス、資金計画、収支見通しなどをまとめるものです。

日本政策金融公庫の創業融資を申し込む際にも利用されます。

事業計画書

既存事業を含め、事業の方針や市場分析、競合との差別化、販売戦略、将来の収支計画などを整理する資料です。

創業時にも活用されますが、創業計画書より詳しい内容をまとめる場合もあります。

学生起業では、まず自分の事業を整理するために事業計画を考え、その内容を創業計画書に落とし込むとよいでしょう。

重要なのは書類の名称ではなく、事業として成立する根拠を説明できることです。


2.学生の創業計画書で特に重要な3つの視点

学生が創業計画書を作成する場合、次の3つを特に意識しましょう。

① 経験が少ない分、準備したことを具体的に示す

社会人としての勤務経験が少ない場合でも、事業に関連する知識や実績があれば整理して記載します。

② アイデアだけでなく、需要を確認した結果を示す

「便利なサービスだと思う」という説明だけでなく、実際に利用した人の反応や販売実績などを示します。

③ 学業と両立できる現実的な計画にする

授業や試験期間も考慮し、実際に対応できる業務量をもとに売上を計算します。

この3つを意識することで、学生ならではの事情を踏まえた創業計画書を作りやすくなります。


3.創業の動機|「なぜ起業したいのか」を具体的にする

創業計画書では、まず創業の動機を整理します。

学生の場合、

「大学生のうちに起業してみたい」

「自分のアイデアを形にしたい」

「将来は経営者になりたい」

といった理由がきっかけになることもあるでしょう。

しかし、これだけでは事業を始める理由として十分な説明になりません。

例えば、Web制作事業を始める学生であれば、次のように考えます。

記載例

大学でWeb制作を学ぶ中で、大阪の小規模事業者にはホームページの更新や運用に課題を抱えている事業者がいることを知りました。

実際に知人の店舗のホームページ制作を担当したところ、継続的な更新についても相談を受けました。

この経験を活かし、小規模事業者向けにホームページ制作と運用支援を提供する事業を始めたいと考えています。

このように、

経験したこと → 発見した課題 → 提供するサービス → 起業する理由

という流れで整理すると、創業の動機が具体的になります。


4.経歴欄|社会人経験が少ない場合は何を書く?

学生起業で特に悩みやすいのが、創業計画書の経歴欄です。

「正社員として働いたことがないので、書くことがありません」

と考える方もいるかもしれません。

しかし、経歴欄では、創業する事業に関係する経験を整理することが重要です。

例えば、次のようなものが考えられます。

  • 大学・専門学校での専攻や研究内容
  • アルバイトで担当した業務
  • インターンシップでの実務経験
  • 資格や専門スキル
  • Webサイトやアプリの制作実績
  • 学生団体での活動
  • ビジネスコンテストへの参加実績
  • 副業などでの受注・販売実績

ただし、これらを単に並べるだけでは不十分です。

例えば、

「大学でプログラミングを学びました」

という説明よりも、

「大学でプログラミングを学び、飲食店向けの予約管理アプリを制作しました。実際に店舗で試用してもらい、操作性について意見をいただきました」

という説明の方が、事業との関連性が明確になります。

経歴の長さではなく、創業する事業にどのように活かせるかを意識しましょう。

なお、創業計画書には事実に基づいた内容を記載することが前提です。実際に行っていない活動や、存在しない実績を記載してはいけません。


5.商品・サービス|誰に何を提供するのかを明確にする

創業計画書では、商品やサービスの内容を具体的に説明する必要があります。

例えば、

「企業向けにWebサービスを提供する」

という説明だけでは、事業内容が十分に伝わりません。

次の3つに分けて考えてみましょう。

① 誰に提供するのか

大阪市内の小規模飲食店や美容サロンなど。

② 何を提供するのか

ホームページ制作、更新代行、予約ページの作成など。

③ いくらで提供するのか

ホームページ制作1件10万円、更新・運用支援月額1万円など。

このように整理すると、顧客像や売上の仕組みが明確になります。

特に学生の場合、同世代を対象としたサービスを考えることもあるでしょう。

その場合には、利用する人とお金を払う人が同じなのかも確認しておきたいところです。

例えば、学生向けの無料アプリであれば、利用者が増えるだけでは売上になりません。

広告収入や企業からの掲載料など、どのように収益を得るのかまで考える必要があります。


6.市場・競合分析|「自分が便利だと思う」だけでは足りない

学生起業では、新しいアイデアやサービスから事業を考えることがあります。

しかし、自分が便利だと思うサービスでも、実際にお客様がお金を払ってくれるとは限りません。

そこで重要なのが、市場や競合の確認です。

例えば、大阪の飲食店向けにSNS運用代行を始めるのであれば、

  • SNS運用に困っている店舗はどのくらいあるか
  • すでに同様のサービスを提供している会社はあるか
  • 競合はどのくらいの料金で提供しているか
  • 自分のサービスにはどのような特徴があるか
  • 顧客がその料金を払う理由は何か

などを調べます。

大阪で起業する場合には、実際に営業する地域の事業者に話を聞くことも有効です。

例えば、飲食店や美容サロンの経営者に、現在どのような集客上の課題があるのかを聞くことで、サービス内容を見直すきっかけになります。

単に「大阪には飲食店が多いから需要がある」と考えるのではなく、具体的にどのような顧客が、何に困っているのかを確認しましょう。


7.学生ならではの強み|テスト販売や試作品を計画書に活かす

社会人経験が少ない学生にとって、事業の実現可能性を示す有効な方法の一つが、実際に小さく事業を試すことです。

例えば、次のような準備が考えられます。

Web制作事業の場合

実際に制作したホームページを整理し、制作期間や顧客からの評価をまとめます。

アプリ開発の場合

試作品を作成し、利用者数や利用者から得た意見、改善した内容などを整理します。

ネットショップの場合

少量の商品を販売し、販売数量、売上、利益、顧客の反応などを確認します。

SNS運用代行の場合

実際に運用を担当したアカウントについて、問い合わせ数などの成果を整理します。

ここで重要なのは、単に「試しました」と書くことではありません。

何を試し、どのような結果が出て、そこから何を改善したのかまで説明できるようにしましょう。

例えば、

「アプリを50人に試してもらった結果、操作方法が分かりにくいという意見が多かったため、画面構成を改善した」

というように、具体的な数字や改善内容があると、事業準備の状況が伝わりやすくなります。


8.売上計画|学生でも説明できる数字を作る

創業計画書の中でも特に重要なのが、売上計画です。

学生の場合、まだ十分な販売実績がないこともあります。

その場合でも、希望する売上から逆算するのではなく、実際に提供できる商品・サービスの数量をもとに計算します。

例えば、Web制作事業で次のような計画を立てたとします。

項目 数量・単価 月間売上
Webサイト制作 10万円 × 2件 20万円
月額運用支援 1万円 × 5社 5万円
合計 25万円

この場合、月商25万円という数字には計算上の根拠があります。

しかし、これだけで十分というわけではありません。

次に確認したいのが、

「毎月2件の制作案件を本当に受注できるのか」

という点です。

過去の受注実績、問い合わせ件数、営業活動の計画、既存顧客からの紹介などをもとに考えます。

さらに、月2件の制作を学業と両立できるかも確認する必要があります。


9.学業との両立を売上計画に反映する

学生起業の創業計画書では、実際に事業へ使える時間を考えることも重要です。

例えば、

平日は大学の授業がある
試験期間は仕事を減らす必要がある
長期休暇は比較的時間を確保しやすい

という状況であれば、毎月同じ件数を受注できるとは限りません。

そのため、売上計画を作る際には、次のように考えます。

通常月

Webサイト制作2件、月額運用支援5社。

試験期間

Webサイト制作1件、月額運用支援5社。

このように、学業の予定を考慮して売上を見積もることもできます。

また、共同創業者がいる場合には、誰が制作を担当し、誰が営業や顧客対応を行うのかを明確にすることも重要です。

「学生だから時間がある」という前提ではなく、実際に確保できる時間をもとに事業計画を作りましょう。


10.必要資金と自己資金|希望額ではなく根拠から考える

創業計画書には、必要な資金とその調達方法を記載します。

例えば、学生がWeb制作事業を本格化させるため、次の資金が必要だとします。

項目 金額
パソコン・周辺機器 30万円
ソフトウェア・制作環境 10万円
ホームページ・広告費 20万円
外注費・その他運転資金 90万円
必要資金合計 150万円

これに対して、

自己資金50万円
創業融資100万円

という資金調達を検討するケースです。

この場合、重要なのは「100万円借りたい」という希望だけではありません。

  • パソコンや機器は本当に必要か
  • すでに持っている機器を活用できないか
  • 広告費20万円の使い道は明確か
  • 運転資金90万円はどのように計算したか
  • 事業の売上から返済できるか

などを確認します。

設備資金については見積書を準備し、運転資金については月々の支出をもとに必要額を計算すると、説明しやすくなります。

なお、実際の申込みでは、設備資金と運転資金の区分を整理し、創業計画書の所定の欄に記載します。

資金計画は、借りたい金額に合わせて作るのではなく、必要な資金を積み上げて作ることが重要です。


11.利益計画|売上があっても返済できるとは限らない

創業計画書では、売上だけでなく利益の見込みも重要です。

例えば、先ほどのWeb制作事業で、月商25万円を見込んでいるとします。

ここから、

ソフトウェア利用料
通信費
広告宣伝費
外注費
その他の経費

などを差し引く必要があります。

仮に月商25万円、経費10万円であれば、経費を差し引いた金額は15万円です。

しかし、この15万円がすべて自由に使えるわけではありません。

個人事業主であれば生活費や税金なども考える必要がありますし、設備の更新や予想外の支出にも備えなければなりません。

また、借入をする場合には返済も必要です。

そのため、売上計画だけでなく、経費・利益・資金繰りまで一緒に考えることが重要になります。


12.学生起業の創業計画書で避けたい5つの失敗

最後に、学生が創業計画書を作る際に注意したいポイントを整理します。

① アイデアの説明ばかりになっている

新しいアイデアであることは強みになる場合がありますが、実際にお客様がいるかどうかが重要です。

② 経験がないことを隠そうとする

経験が少ない場合には、これまでの学習や活動、実際の事業準備を正確に説明しましょう。

③ 売上計画が希望だけになっている

「月100万円稼ぎたい」という目標ではなく、単価や販売数量、顧客獲得方法から計算します。

④ 学業との両立を考えていない

授業や試験期間などを考慮し、現実的に運営できる事業計画にする必要があります。

⑤ 創業計画書の内容を本人が説明できない

専門家の支援を受けて作成する場合でも、最終的には自分自身が内容を理解しておくことが重要です。

創業計画書は、きれいな文章を書くことが目的ではありません。

事業を実際に進められる根拠を、数字や実績を使って説明できる状態にすることが大切です。


まとめ|学生の創業計画書は「経験の少なさを準備で補う」

学生が創業計画書を作成する場合、社会人経験や事業実績が少ないこともあります。

しかし、だからといって創業計画書を作れないわけではありません。

重要なのは、

① 創業する理由を具体的にする
② 大学での学びや活動を事業と結び付ける
③ 誰に何を提供するかを明確にする
④ 実際に需要があるか確認する
⑤ 売上を単価と数量から計算する
⑥ 学業と両立できる計画にする
⑦ 必要資金と返済計画に根拠を持たせる

ということです。

特に学生起業では、試作品の制作、テスト販売、顧客へのヒアリング、実際の受注実績などが、事業計画を具体化する材料になります。

「経験が少ないから不利だ」と考えるのではなく、今できる準備を積み重ね、その結果を創業計画書に反映させていきましょう。

次回は学生起業シリーズの最終回として、

「学生起業で失敗しないために|学業・資金・人間関係で注意したいこと」

を解説します。

創業後に起こりやすい問題や、学生ならではの注意点を取り上げ、事業を長く続けるための考え方をご紹介します。


大阪で学生の創業計画書・創業融資をお考えの方へ

「社会人経験が少なく、創業計画書に何を書けばいいか分からない」

「売上実績が少ないけれど、融資を受けられる計画を作りたい」

「自分の事業計画や必要資金を専門家に確認してほしい」

このようなお悩みがございましたら、創業前の段階からお気軽にご相談ください。

学生の創業では、これまでの経験や実績を整理し、事業の実現可能性を具体的に説明できる計画を作ることが重要です。

大阪で創業をお考えの方に、事業計画・資金計画の整理から創業計画書の作成、日本政策金融公庫の創業融資までサポートいたします。

※創業融資の申込条件や必要書類などは変更される場合があります。実際の申込みにあたっては、日本政策金融公庫などの最新情報をご確認ください。

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