こんにちは!大阪スタートアッププロです。

個人事業主として事業が成長してくると、「そろそろ法人化した方がいいのでは?」と考える方も多いのではないでしょうか。

法人化には、取引先との信用面や事業拡大、税金など、さまざまなメリットがあります。しかし、十分な準備をせずに会社を設立すると、「思っていたより費用がかかった」「税金や社会保険料の負担が増えた」「会社設立後の手続きが分からない」といった問題が生じることもあります。

特に、個人事業主から法人へ移行する場合には、会社を設立するだけでなく、これまでの事業をどのように引き継ぐかも重要です。

今回は、法人化を検討している方に向けて、よくある失敗例を7つご紹介します。【監修:税理士 村田幸雄】


失敗① 節税だけを目的に法人化してしまう

法人化を検討するきっかけとして多いのが、税金の負担を減らしたいという理由です。

確かに、事業の利益や役員報酬の設定によっては、法人化することで税負担を抑えられる可能性があります。

しかし、法人化すれば必ず節税になるわけではありません。

 

税金以外の負担も増える

法人化すると、原則として社会保険への加入が必要になり、会社が負担する社会保険料が発生します。

また、法人住民税の均等割は、原則として赤字であっても発生します。さらに、法人税の申告や決算など、個人事業主のときよりも事務負担が増える傾向があります。

そのため、所得税と法人税の税率だけを比較して法人化を決めてしまうと、結果的に負担が増えてしまうことがあります。

対策: 法人化前に、税金だけでなく社会保険料や会社の維持費まで含めたシミュレーションを行いましょう。

 

失敗② 資本金を少なく設定しすぎる

現在は、株式会社や合同会社を少額の資本金で設立することができます。

しかし、設立費用を抑えたいという理由だけで資本金を極端に少なくすると、創業後の資金繰りに影響することがあります。

 

設立できることと事業を続けられることは別

例えば、会社設立後には、家賃や仕入代金、人件費、広告費など、売上が安定する前からさまざまな支払いが発生します。

資本金が少なく、ほかに十分な運転資金も確保できていなければ、事業開始直後から資金不足に陥る可能性があります。

また、事業内容によっては許認可の取得に一定の財産的要件が設けられている場合もあります。

対策: 資本金は設立のしやすさだけで決めず、必要な運転資金や設備資金、自己資金、融資の利用予定などを考慮して決定しましょう。

 

失敗③ 役員報酬を十分に検討せずに決めてしまう

法人化すると、社長自身が会社から役員報酬を受け取ることになります。

この役員報酬を何となく決めてしまうことも、法人化でよくある失敗の一つです。

 

役員報酬は自由に変更できるわけではない

役員報酬には税務上のルールがあり、原則として毎月同額を支給する定期同額給与などの要件を満たす必要があります。

そのため、会社の利益が予想より少なかったからといって、途中で自由に役員報酬を変更すると、法人税の計算上、損金として認められない部分が生じる可能性があります。

また、役員報酬を高く設定しすぎると、会社の資金繰りを圧迫することもあります。

反対に、低く設定しすぎると、社長自身の生活費が不足する可能性があります。

対策: 役員報酬は、会社の利益予測や資金繰り、社長自身の生活費、税金、社会保険料などを考慮して決めましょう。

 

失敗④ 決算月を何となく決めてしまう

会社設立時には、事業年度を決める必要があります。

例えば、3月決算や12月決算などがありますが、必ずしも一般的な決算月を選ぶ必要はありません。

 

決算月は事業の繁忙期や資金繰りにも関係する

決算後には決算書の作成や税務申告、納税などの手続きが発生します。

そのため、事業の繁忙期と決算・申告の時期が重なると、経営者や経理担当者の負担が大きくなることがあります。

また、法人設立初年度の事業年度の長さによって、税務上の取扱いに影響が生じる場合もあります。

対策: 決算月は、繁忙期や売上の季節変動、資金繰り、税務上の取扱いなどを考慮して決定しましょう。

 

失敗⑤ 個人事業の契約や資産の引継ぎを忘れてしまう

個人事業主から法人化する場合に注意したいのが、これまで個人名義で行っていた事業を法人へ引き継ぐ手続きです。

 

会社を設立しても契約が自動的に移るわけではない

例えば、個人事業主として契約していた事務所や店舗の賃貸借契約、取引先との契約、銀行口座などは、会社を設立しただけで自動的に法人名義へ変更されるわけではありません。

また、個人事業で使用していた車両や設備、在庫などを法人へ引き継ぐ場合には、売買や現物出資など、適切な方法を検討する必要があります。

資産の引継ぎ方法によっては、税金が発生することもあります。

対策: 法人化前に、個人事業で使用している契約や資産、借入金などを一覧にし、どのように法人へ引き継ぐのか整理しておきましょう。

 

失敗⑥ 法人化後の資金繰りを考えていない

法人化すると、会社と社長個人のお金は明確に区別する必要があります。

個人事業主のときと同じ感覚でお金を管理していると、思わぬ資金不足につながることがあります。

 

会社のお金を自由に生活費へ使うことはできない

個人事業主の場合、事業で得たお金を生活費として引き出すことがあります。

しかし、法人化後は、会社のお金を社長が自由に使えるわけではありません。原則として、役員報酬などの適切な方法で会社から個人へお金を移す必要があります。

また、法人化によって社会保険料や税金、会計・事務に関する費用など、新たな支出が発生する場合もあります。

そのため、法人化前と同じ感覚で資金繰りを考えていると、会社の預金残高が想定以上に減ってしまうことがあります。

対策: 法人化前に、会社の売上・経費・役員報酬・社会保険料・借入返済などを含めた資金繰り計画を作成しましょう。

 

失敗⑦ 設立後の届出や手続きを後回しにする

法人化では、会社設立の登記が完了すれば、すべての手続きが終わるわけではありません。

会社設立後には、税務署や都道府県、市町村への届出、社会保険関係の手続きなど、さまざまな対応が必要になります。

 

期限を過ぎると不利益が生じることも

例えば、法人税の青色申告の承認申請には提出期限があります。

法人設立後、最初の事業年度から青色申告を適用したい場合には、原則として設立の日以後3か月を経過した日と最初の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までに申請する必要があります。

このように、届出によっては提出期限を過ぎると希望する取扱いを受けられなくなることがあります。

また、個人事業を廃止する場合には、個人事業側でも必要な税務手続きを確認する必要があります。

対策: 法人設立前から必要な届出と提出期限を一覧にしておき、設立後すぐに対応できるよう準備しましょう。

 

法人化で失敗しないために大切なこと

ここまで7つの失敗例をご紹介しましたが、共通しているのは「会社を設立することだけを考えてしまう」という点です。

法人化は、会社を作ることがゴールではありません。

法人化した後に安定して事業を続け、成長させていくことが重要です。

そのためには、法人化前から税金や社会保険料、資金繰り、事業計画などを総合的に検討する必要があります。

特に、個人事業から法人へ移行する場合には、これまでの事業をどのように引き継ぐのかという視点も欠かせません。

会社設立の手続きだけでなく、設立後の経営まで見据えて準備を進めましょう。

 

まとめ

法人化にはさまざまなメリットがありますが、十分な準備をせずに進めると、税金や社会保険料の負担、資金繰り、役員報酬、契約の引継ぎなどで問題が生じる可能性があります。

今回ご紹介した7つの失敗例を参考に、法人化前に必要な準備を整理しておくことが大切です。

特に、資本金や役員報酬、決算月などは、会社設立後の経営にも関係する重要な項目です。

「とりあえず法人化する」のではなく、今後の事業計画や資金繰りまで考え、自社に合った形で法人化を進めていきましょう。

大阪スタートアッププロでは、大阪で創業・事業をされている方に向けて、会社設立や法人化、日本政策金融公庫をはじめとした融資、設立後の税務・会計まで幅広くサポートしております。

法人化を検討されている方や、会社設立前に確認しておきたいことがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

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