
「学生でも日本政策金融公庫の創業融資を受けられる?」
「社会人経験がないと、融資審査では不利になる?」
「自己資金が少ない場合、どうやって事業資金を準備すればいい?」
大阪で起業を考えている大学生や専門学校生の中には、このような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
学生起業では、社会人と比べて勤務経験や自己資金が少ないケースがあります。そのため、創業融資を利用できるのか不安に感じることもあるでしょう。
しかし、学生であるという理由だけで、創業融資を受けられないわけではありません。
日本政策金融公庫には若い世代の創業者を支援する融資制度があり、大阪府にも若者を対象とした優遇措置が設けられています。
ただし、若者向けの優遇制度があるからといって、必ず融資を受けられるわけではありません。
重要なのは、経験や自己資金が少ない中でも、事業を実現できる根拠をどのように示すかということです。
今回は、大阪で起業を目指す学生に向けて、利用を検討できる創業融資制度や、審査に向けた準備について詳しく解説します。
1.学生でも創業融資を受けられる?
結論からいうと、学生でも創業融資を利用できる可能性はあります。
創業融資は、これから事業を始める方や、創業して間もない事業者などを対象とした融資です。
そのため、すでに会社を経営している方や、長年社会人として働いてきた方だけが対象になるわけではありません。
ただし、金融機関は融資を行う際に、事業の実現可能性や返済能力などを確認します。
例えば、次の2人を考えてみましょう。
Aさん:大学生
大学でWeb制作を学び、すでに地域企業から有料で制作案件を受注している。毎月一定の売上があり、今後の受注見込みもある。
Bさん:社会人
勤務経験はあるものの、これまで経験したことのない事業を始めようとしており、顧客や売上の見込みが具体的になっていない。
この場合、社会人だから必ず有利、学生だから必ず不利ということではありません。
それぞれの経験や事業計画、自己資金、返済可能性などを総合的に考える必要があります。
学生起業で重要なのは、年齢や肩書きよりも、事業を実際に進められる準備ができているかどうかです。
なお、18歳未満の方については、契約や融資申込みに関する取扱いを個別に確認する必要があります。
2.日本政策金融公庫には若者向けの創業融資制度がある
学生が創業融資を検討する場合、代表的な資金調達先の一つが日本政策金融公庫です。
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、これから事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の方などを対象としています。
この制度には、35歳未満の創業者に対する特別利率の仕組みがあります。
つまり、学生を含む若い世代が創業する場合、一定の条件のもとで金利面の優遇を受けられる可能性があります。
融資の対象となる資金には、主に次の2つがあります。
設備資金
事業に必要な機械、設備、備品、店舗の内装工事などに使う資金です。
運転資金
仕入れ、広告宣伝費、人件費など、事業を継続するために必要となる資金です。
例えば、大学生がWeb制作事業を始める場合には、必要なパソコンや機器の購入費用、広告宣伝費などについて融資を検討することが考えられます。
ただし、若者向けの特別利率が適用されることと、融資審査に通ることは別です。
実際の融資可否や融資額は、事業計画などの審査によって判断されます。
3.大阪府にも若者向けの創業融資がある
大阪で学生起業を考える場合、日本政策金融公庫以外にも選択肢があります。
大阪府には「開業・スタートアップ応援資金」という制度融資があります。
制度融資とは、自治体、金融機関、信用保証協会などが連携して、創業者や中小企業の資金調達を支援する仕組みです。
大阪府の制度では、35歳未満の若者などを対象とした金利の引下げ措置が設けられています。
また、金融機関や商工会議所などによる創業後のフォローアップを受けられる「地域支援ネットワーク型」というメニューもあります。
創業時は資金調達だけでなく、開業後の経営についても分からないことが多いものです。
特に学生の場合、
- 売上や利益の管理
- 資金繰り
- 税金や会計
- 顧客の獲得
- 事業の継続・拡大
など、初めて経験することも多いでしょう。
そのため、金利などの条件だけでなく、創業後の経営支援を受けられるかどうかも含めて制度を比較することが大切です。
なお、大阪府の制度融資には、創業時期などに応じた自己資金要件が設けられている場合があります。
日本政策金融公庫と大阪府の制度融資では利用条件が異なるため、自分の状況に合わせて確認しましょう。
4.学生が創業融資を受ける際に確認される5つのポイント
創業融資では、事業の実現可能性や返済能力などを判断するために、さまざまな項目が確認されます。
学生起業の場合、特に意識しておきたいのが次の5つです。
① 事業に関する経験や知識があるか
学生の場合、社会人としての勤務経験が少ないことがあります。
しかし、事業に関する経験は正社員としての勤務経験だけではありません。
例えば、
- 大学で学んでいる専門知識
- アルバイトでの実務経験
- インターンシップでの経験
- プログラミングやデザインの制作実績
- 学生団体での活動
- コンテストへの参加実績
なども、事業内容によっては説明材料になります。
重要なのは、その経験が創業する事業にどのようにつながっているかということです。
例えば、大学でプログラミングを学んでいる学生がアプリ開発事業を始めるのであれば、これまで制作したアプリや開発実績を整理しておくとよいでしょう。
② 自己資金をどのように準備したか
自己資金も重要な確認項目です。
学生の場合、アルバイト収入から少しずつ貯蓄してきた方もいるでしょう。
自己資金は、金額だけでなく、その資金をどのように準備したかも重要です。
また、親などから資金援助を受ける場合には、返済不要の贈与なのか、返済義務のある借入なのかを明確にする必要があります。
自己資金が少ない場合には、必要な事業資金とのバランスを含めて考えることが大切です。
③ 売上の見込みに根拠があるか
創業融資では、将来の売上をどのように見込んでいるかも重要になります。
例えば、
「月商100万円を目指します」
という目標だけでは、なぜ100万円売れるのか分かりません。
Web制作事業なら、
制作単価10万円 × 月5件=月商50万円
というように計算できます。
さらに、毎月5件の仕事をどのように受注するのかを説明する必要があります。
すでに顧客がいる場合は、過去の売上や受注実績などを整理しておくとよいでしょう。
④ 必要な融資額に根拠があるか
創業融資では、借入希望額の根拠も重要です。
例えば、
「300万円借りられるなら借りたい」
という考え方では、資金の必要性を十分に説明できません。
設備資金については見積書を準備し、運転資金については毎月の支出を計算します。
そのうえで、自己資金で不足する金額を把握します。
必要な資金を積み上げた結果として、融資希望額を決めることが大切です。
⑤ 学業と両立しながら事業を続けられるか
学生起業ならではの重要なポイントです。
例えば、大学の授業が週5日ある学生が、毎日長時間の店舗営業を行う計画を立てていた場合、実際に運営できるのか疑問が生じます。
そのため、
- 授業がある時間帯
- 試験期間
- 長期休暇
- 卒業後の進路
- 共同経営者との役割分担
なども考慮する必要があります。
融資審査では、事業計画が実際に実行できるものかどうかが重要です。
学生であることを隠すのではなく、学業と両立できる具体的な事業運営の方法を考えておきましょう。
5.社会人経験が少ない場合は何で補えばいい?
学生が創業融資を検討する際、特に不安に感じやすいのが経験の少なさです。
しかし、経験が少ないからといって、必ずしも事業の可能性がないわけではありません。
重要なのは、事業の実現可能性を示す材料を準備することです。
例えば、次のような方法が考えられます。
実際に商品やサービスを販売する
すでに売上が発生していれば、顧客が商品やサービスにお金を払うことを示す材料になります。
試作品を作って顧客の反応を確認する
アプリやWebサービスであれば、試作品を作って利用者の反応を確認する方法があります。
顧客候補から具体的な意見を聞く
誰にどのような需要があるのかを調べることで、事業計画の根拠を補強できます。
専門知識や制作実績を整理する
大学での研究、資格、制作物、コンテストでの実績なども、事業内容によっては強みになります。
大切なのは、
「経験がありませんが頑張ります」ではなく、「経験は少ないですが、ここまで準備してきました」と説明できる状態にすることです。
6.学生起業の具体例|大阪でWeb制作事業を始める場合
ここで、大阪の大学に通うAさんがWeb制作事業を始めるケースを考えてみましょう。
Aさんは大学でWeb制作を学んでおり、これまでに知人の店舗や地域企業のWebサイトを制作した経験があります。
現在は有料の制作案件を継続的に受注しており、卒業後は事業を本格化させたいと考えています。
新たな機器の購入や営業活動、外注費などに必要な資金として、創業融資を検討しています。
この場合、創業計画を説明するうえで重要になるのは次のような点です。
| 確認項目 | Aさんが準備する内容 |
|---|---|
| 事業経験 | 大学での学習内容、過去の制作実績 |
| 顧客・販売先 | 既存の取引先、今後の営業先 |
| 売上計画 | 制作単価、月間受注件数、継続契約 |
| 自己資金 | アルバイトや事業収入からの貯蓄 |
| 必要資金 | 機器の見積書、広告費、外注費 |
| 事業運営 | 授業期間中の稼働時間、卒業後の計画 |
Aさんの場合、社会人としての勤務経験は少なくても、すでに制作実績や顧客がいることは、事業の実現可能性を説明する材料になります。
ただし、実績があれば必ず融資を受けられるわけではありません。
過去の実績と今後の売上計画を結び付け、必要な資金や返済可能性を具体的に説明することが重要です。
7.学生が創業融資を申し込むまでの流れ
日本政策金融公庫で創業融資を検討する場合、一般的には次のような流れで進めます。
STEP1 事業内容を整理する
何を販売するのか、誰がお客様なのか、どのように売上を作るのかを考えます。
STEP2 必要資金を計算する
設備資金と運転資金を整理し、自己資金で不足する金額を把握します。
STEP3 創業計画書を作成する
創業の動機、経歴、事業内容、必要資金、売上・利益の見込みなどをまとめます。
STEP4 必要書類を準備して申し込む
創業計画書のほか、設備資金の見積書や本人確認書類など、申込み内容に応じた資料を準備します。
STEP5 融資担当者との面談・審査
事業内容や資金の使い道、売上計画などについて確認されます。
STEP6 融資決定・契約・融資実行
審査の結果、融資が決定した場合には、契約手続きを経て資金が振り込まれます。
なお、申込みをすれば必ず融資を受けられるわけではなく、希望額から減額される場合や、融資を受けられない場合もあります。
そのため、物件契約や高額な設備購入などを進める前に、資金調達の見通しを確認しておくことが大切です。
8.学生が創業融資で避けたい3つの失敗
失敗①「若者向け制度だから借りられる」と考える
若者向けの金利優遇制度があっても、融資の審査がなくなるわけではありません。
事業内容や資金計画を十分に準備する必要があります。
失敗② 売上実績がないまま大きな借入を希望する
まだ商品やサービスを販売したことがなく、顧客も決まっていない段階で大きな融資を希望すると、売上計画の実現可能性を説明することが難しくなります。
事業によっては、まず小さく販売を始め、実績を作ってから本格的な資金調達を検討する方法もあります。
失敗③ 借入後の返済を考えていない
融資を受けると、原則として元金と利息を返済していく必要があります。
特に学生の場合、授業や試験期間などによって事業に使える時間が変わることがあります。
そのため、売上が少ない月も想定した資金繰り計画が必要です。
「融資を受けること」ではなく、「借りた資金を活用して事業を継続すること」を目的にしましょう。
9.学生起業では融資を受けない選択肢もある
ここまで創業融資について解説してきましたが、学生が起業する際に必ず融資を受けなければならないわけではありません。
例えば、自己資金20万円で始められるWeb関連事業であれば、借入をせずに始める方法もあります。
一方、店舗や設備が必要な事業では、自己資金だけで開業することが難しい場合もあります。
大切なのは、自分の事業に本当に借入が必要なのかを判断することです。
最初は小さく事業を始め、売上や顧客を増やしてから融資を検討する方法もあります。
また、大阪では創業者向けの相談窓口や支援機関などもあるため、融資だけでなく経営相談や創業支援を活用することも考えてみましょう。
まとめ|学生の創業融資は「経験の少なさをどう補うか」が重要
学生でも、創業融資を利用できる可能性はあります。
日本政策金融公庫には35歳未満の創業者を対象とした特別利率があり、大阪府の制度融資にも若者向けの優遇措置があります。
ただし、学生だから融資を受けやすいというわけではありません。
重要なのは、
① 事業に必要な知識や経験を整理する
② 自己資金を計画的に準備する
③ 実際の販売実績や顧客の反応を確認する
④ 売上計画に根拠を持たせる
⑤ 必要な融資額を明確にする
⑥ 学業と両立できる事業運営を考える
⑦ 無理のない返済計画を作る
ということです。
学生の場合、社会人としての経験や自己資金が少ないこともあるでしょう。
しかし、大学で学んだ専門知識や、アルバイト・インターンでの経験、実際の制作・販売実績などを活かすことはできます。
「学生だから融資は難しい」と最初から諦めるのではなく、まずは事業として成立する計画を作ることから始めましょう。
次回、第4回では、
「学生起業の事業計画書・創業計画書の作り方|経験が少ない場合はどうする?」
として、学生ならではの強みを創業計画書にどう落とし込み、売上や必要資金をどのように説明すればよいのかを詳しく解説します。
大阪で学生の創業融資をお考えの方へ
「学生でも日本政策金融公庫の融資を受けられるか知りたい」
「社会人経験が少ないけれど、創業計画書を作りたい」
「自己資金や売上計画が融資申込みに適しているか確認したい」
このようなお悩みがございましたら、創業前の段階からお気軽にご相談ください。
学生の創業融資では、経験や自己資金が少ない場合があるからこそ、これまでの実績や事業の実現可能性を整理し、根拠のある創業計画を作ることが重要です。
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