「大阪で起業するために創業融資を受けたい」
「創業計画書には何を書けばいい?」
「子育てで仕事から離れていた期間があるけれど、融資審査で不利になる?」

女性が起業を考えるとき、このような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これまでのシリーズでは、

第1回 大阪で女性が起業するには?開業までの流れと準備を解説
第2回 女性の起業にはいくら必要?大阪で開業するための資金計画
第3回 大阪で女性起業に使える融資・支援制度とは?資金調達方法を解説

について解説してきました。

そして実際に創業融資を利用する段階で重要になるのが、「どのような事業を始め、どのように売上を作り、借りた資金をどう返済していくのか」を具体的に説明することです。

その中心となる資料が「創業計画書」です。

今回は「大阪で女性起業」シリーズの最終回として、女性が創業融資を申し込む際に押さえておきたい創業計画書の作り方と審査のポイントを解説します。【監修:税理士 村田幸雄】


女性だから創業融資を受けやすい?

第3回でご紹介したように、創業者向けの融資制度には、女性を対象とした優遇措置が設けられているものがあります。

しかし、

「女性だから審査に通りやすい」

ということではありません。

創業融資では、性別だけではなく、

  • 創業する理由
  • これまでの経験
  • 商品・サービスの内容
  • 販売先や顧客
  • 自己資金
  • 必要な融資額
  • 売上・利益の見込み
  • 返済可能性

などをもとに事業計画を確認されます。

したがって、女性向けの制度や優遇措置を探すことも大切ですが、それ以上に重要なのが、自分の事業について具体的に説明できる創業計画を作ることです。


創業計画書は「融資を受けるためだけの書類」ではない

創業計画書というと、

「日本政策金融公庫に提出するために作るもの」

というイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし、本来は自分自身の事業を整理するためにも役立つものです。

頭の中では、

「このくらいお客様が来てくれるだろう」
「これくらい売上があれば生活できそう」
「300万円くらい借りれば大丈夫だろう」

と考えていても、実際に数字にすると計画の問題点が見えてくることがあります。

例えば、

  • 思った以上に固定費が高い
  • 売上目標を達成するには現実的でない人数のお客様が必要
  • 設備に資金を使いすぎて運転資金が残らない
  • 希望する借入額の根拠が説明できない

といったことです。

創業計画書は、融資担当者に見せるためだけではなく、開業前に自分の事業を数字で点検するための資料として活用しましょう。


ポイント①「なぜ起業するのか」を具体的にする

創業計画書では、まず創業の動機を整理します。

ここで、

「昔から自分のお店を持つのが夢だった」
「自分らしく働きたい」
「子育てと仕事を両立したい」

という気持ちを書くこと自体が悪いわけではありません。

ただし、それだけでは事業としての具体性が十分とはいえません。

例えば、美容業界で10年間働いてきた女性であれば、

美容業界で10年間勤務し、施術だけでなく接客や顧客管理も経験してきた。勤務する中で○○というニーズを感じ、自分の経験を活かしたサロンを開業したいと考えた。

というように、

「これまでの経験」→「感じた課題やニーズ」→「だからこの事業を始める」

という流れで考えると、創業の動機に具体性が出ます。


ポイント② これまでの経験を「強み」として整理する

女性の起業では、これまで積み重ねてきた経験を改めて整理することが重要です。

例えば、

  • 美容師・エステティシャンとしての勤務経験
  • 飲食店での調理・接客経験
  • 営業職で築いた顧客との関係
  • 経理・事務の経験
  • Web制作・デザインの実績
  • 資格や専門知識
  • 店長・マネージャーとしての管理経験

などです。

「会社員だったので経営経験がありません」と考える必要はありません。

勤務時代に、

集客・接客・仕入れ・原価管理・スタッフ教育・顧客管理

などに携わっていれば、それらも創業後に活かせる経験です。

自分が担当してきた仕事内容を細かく振り返ってみましょう。


子育てなどによるブランクがある場合はどう考える?

女性起業では、出産や子育てなどによって、仕事から離れていた期間があるケースもあります。

その場合、

「ブランクがあるから融資では不利なのでは?」

と不安になる方もいるでしょう。

大切なのは、ブランクがあることだけを気にするのではなく、現在の事業計画に必要な経験や能力をどのように備えているかを説明することです。

例えば、

美容業界で8年間勤務
↓
出産・育児で3年間離職
↓
復職して2年間勤務
↓
独立開業

という経歴であれば、長年の実務経験そのものがなくなるわけではありません。

離職期間がある場合でも、

  • 復職後の実務経験
  • 資格の取得・更新
  • 技術研修への参加
  • 副業などで続けてきた活動
  • 開業に向けて行った準備

など、現在までどのように準備してきたのかを整理しておきましょう。

無理にブランクを隠すのではなく、これまでの経験と現在の準備状況を一つの流れとして説明することが大切です。


ポイント③「誰がお客様なのか」を具体的にする

創業計画書では、

「女性向けサロン」
「地域の方を対象としたサービス」

というだけでは、ターゲットがまだ広すぎます。

例えば大阪市内でサロンを開業するなら、

30~40代の働く女性を中心に、仕事や家事で忙しく短時間でも定期的に利用できるサービスを提供する

というように、顧客像を具体化します。

ターゲットが明確になると、

  • どこに出店するか
  • いくらで提供するか
  • 何時まで営業するか
  • どのSNSを利用するか
  • どのような広告を出すか

といった経営上の判断もしやすくなります。

「女性だから女性向けサービスをする」と考える必要もありません。

これまでの経験や地域の需要などをもとに、誰のどのような悩みを解決する事業なのかを整理しましょう。


ポイント④ 売上は「希望」ではなく根拠から計算する

創業計画書の中でも特に重要なのが売上計画です。

例えば、

「月商100万円を目指します」

だけでは、なぜ100万円売れるのかが分かりません。

美容サロンであれば、

客単価 × 1日の来店人数 × 営業日数

という形で計算できます。

例えば、

客単価8,000円
1日4人
月25日営業

なら、

8,000円 × 4人 × 25日=月商80万円

となります。

さらに、

「1日4人のお客様をどのように集めるのか」

まで考える必要があります。

勤務時代の顧客、SNS、ホームページ、紹介、近隣への広告など、具体的な集客方法を整理します。

創業融資では、売上を大きく見せることよりも、説明できる数字を積み上げることが重要です。


子育てと両立するなら「実際に働ける時間」で計算する

前回の記事でも触れましたが、子育てや家庭と両立しながら起業する場合は、働ける時間を現実的に考える必要があります。

例えば、

営業時間9時30分~16時30分
週4日営業

という計画なのに、

1日8人のお客様を想定しているのであれば、本当に対応できるか確認する必要があります。

反対に営業時間が限られていても、

  • 完全予約制にする
  • 客単価を高める
  • リピート率を高める
  • オンラインサービスを組み合わせる
  • 商品販売による売上を作る

など、事業の組み立て方はさまざまです。

融資を受けるために無理な売上計画を作るのではなく、自分が実際に続けられる働き方を前提に、利益が出る仕組みを考えることが大切です。


ポイント⑤ 必要な融資額には根拠を持たせる

「いくら借りたいですか?」

と聞かれたときに、

「借りられるなら500万円くらい」

という考え方では、資金計画として十分ではありません。

第2回で解説したように、

  • 物件取得費
  • 内装工事
  • 設備
  • 備品
  • 仕入れ
  • 広告費
  • 開業後の運転資金

などを積み上げ、必要資金を計算します。

例えば、

必要資金550万円
自己資金200万円

であれば、

不足する350万円を創業融資で調達する

という考え方です。

設備については見積書を準備し、運転資金については「毎月いくら必要なのか」を計算しておくと、必要額の根拠を説明しやすくなります。


ポイント⑥ 自己資金は「金額」だけを見られるわけではない

創業融資では自己資金も重要です。

ただし、

「自己資金が○○万円あれば大丈夫」

と単純に考えるものではありません。

例えば会社員として働きながら、

毎月一定額を貯蓄
↓
数年間かけて200万円を準備
↓
創業に向けて必要資金を計算

という流れであれば、計画的に創業準備を進めてきたことを説明できます。

一方、融資申込みの直前に突然大きなお金が口座へ入っている場合には、その資金がどこから来たものなのか確認される可能性があります。

自己資金については、現在の残高だけでなく、どのように準備してきた資金なのかを説明できるようにしておくことが重要です。


ポイント⑦「自宅で小さく始める」場合も事業性を説明する

女性の起業では、

  • 自宅サロン
  • オンライン教室
  • Web関連サービス
  • コンサルティング
  • ネットショップ

など、大きな店舗を持たずに小規模からスタートするケースもあります。

初期投資を抑えられることはメリットですが、

「お金がかからないから何となく始める」

という計画では不十分です。

店舗を持たない場合でも、

  • どのように顧客を獲得するか
  • どのくらいの単価にするか
  • 月に何件受注するか
  • 競合との違いは何か
  • 将来的にどのように事業を成長させるか

を考える必要があります。

小さく始めることと、計画を小さく考えることは別です。

小規模な事業だからこそ、限られた資金でどう利益を残すかを明確にしましょう。


副業から独立する場合は「実績」を活かす

会社員として働きながら副業を始め、その後独立する女性もいます。

この場合、副業期間の実績は創業計画を具体化する材料になります。

例えば、

「Webデザインの副業を2年間続け、毎月5社程度から継続的に受注している」

のであれば、

ゼロから顧客を探す創業とは状況が異なります。

  • これまでの売上
  • 顧客数
  • リピート率
  • 継続予定の取引先
  • 問い合わせ件数

などを整理しておきましょう。

これまでの実績を数字で示すことで、独立後の売上計画にも根拠を持たせやすくなります。


女性起業のケースで創業計画を考えてみよう

例えば、大阪市内で美容サロンを開業するAさんを考えてみます。

Aさんは美容業界で10年間勤務し、施術だけでなく顧客管理や後輩の指導も経験しています。

子育てとの両立を考え、独立後は完全予約制の小規模サロンを開業する予定です。

この場合、創業計画書では、

経験
美容業界で10年間勤務。施術・接客・顧客管理などを経験。

ターゲット
大阪市内に住む30~40代の女性。

特徴
完全予約制で一人ひとりの顧客に時間を確保。

営業時間
家庭との両立を考え、無理なく継続できる時間帯に設定。

売上計画
客単価×来店人数×営業日数から算出。

資金計画
自己資金と創業融資を組み合わせ、設備だけでなく開業後の運転資金も確保。

というように、一つひとつをつなげて考えます。

重要なのは、

「子育てがあるから営業時間が短い」という弱点として捉えるのではなく、その条件の中で成立する事業モデルを作ることです。


面談では「自分の言葉」で説明できるようにする

創業融資では、創業計画書を提出して終わりではありません。

融資担当者との面談で、事業内容や資金計画について確認されることがあります。

例えば、

「なぜこの事業を始めるのですか?」
「なぜこの場所を選びましたか?」
「売上はどのように計算しましたか?」
「この設備はなぜ必要ですか?」
「お客様はどうやって集めますか?」

といった内容です。

ここで重要なのは、完璧な回答を暗記することではありません。

創業計画書を専門家に作ってもらったとしても、自分自身が内容を理解し、自分の言葉で説明できることが大切です。

むしろ面談準備としては、

「この数字はなぜこうなっているのか?」

を一つずつ確認しておくとよいでしょう。


創業計画書で避けたい5つのこと

創業計画書を作成するときは、次のような状態になっていないか確認してみましょう。

  1. 売上が「これくらい売りたい」という希望だけになっている
  2. 希望する融資額の根拠がない
  3. これまでの経験と創業する事業の関係が分からない
  4. 設備資金ばかりで開業後の運転資金を考えていない
  5. 本人が創業計画書の内容を説明できない

創業計画書をきれいに作ることが目的ではありません。

事業として成立する計画になっているかを確認し、それを第三者にも説明できる状態にすることが重要です。


創業融資の相談は「申込み直前」でなくてもいい

「まだ物件も決まっていないので相談するのは早い」

と思われる方もいます。

しかし、実際には物件契約や設備購入を進めてから、

「思ったより融資を受けられなかった」
「自己資金を使いすぎてしまった」
「もっと運転資金を確保しておけばよかった」

となる方が困ります。

創業融資を検討しているのであれば、

事業内容がある程度固まり、必要資金を考え始めた段階

で一度相談しておくのも一つの方法です。

特に店舗型の事業では、物件契約、内装工事、設備購入、融資申込み、開業日のスケジュールをまとめて考える必要があります。


まとめ|女性ならではの経験や働き方を「事業の強み」に変えよう

女性の創業融資だからといって、特別な創業計画書を作る必要があるわけではありません。

大切なのは、

① なぜ起業するのか
② これまでの経験をどう活かすのか
③ 誰に何を提供するのか
④ どのように売上を作るのか
⑤ いくら資金が必要なのか
⑥ 開業後も無理なく事業を続けられるか

を具体的にすることです。

出産や子育てによるブランクがあったり、働ける時間に制約があったりしても、それだけで事業の可能性が決まるわけではありません。

これまでの経験や資格、副業で積み上げた実績、顧客とのつながりなど、自分が持っているものを整理しましょう。

そして、家庭や子育てとの両立を考える場合には、無理な働き方を前提とするのではなく、自分が継続できる働き方でも利益を出せる事業モデルを作ることが重要です。

「女性だから」という枠に事業を当てはめるのではなく、女性ならではの経験やライフスタイルも含め、自分自身に合った創業計画を作っていきましょう。

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「創業計画書をどう作ればいいか分からない」
「子育てと両立できる売上計画になっているか見てほしい」
「自己資金と希望する融資額のバランスが適切か確認したい」

このようなお悩みがございましたら、創業前の段階からお気軽にご相談ください。

創業融資では、申込書を作ることだけではなく、事業内容・必要資金・自己資金・売上計画を整理し、開業後も無理なく経営できる計画を作ることが大切です。

大阪で創業をお考えの方に、創業計画書の作成から資金計画、日本政策金融公庫の創業融資まで一貫してサポートいたします。


「大阪で女性起業」シリーズ

第1回 大阪で女性が起業するには?開業までの流れと準備を解説
第2回 女性の起業にはいくら必要?大阪で開業するための資金計画
第3回 大阪で女性起業に使える融資・支援制度とは?資金調達方法を解説
第4回 女性の創業融資を成功させるには?創業計画書と審査のポイント

 

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